朝刊アーカイブ 号外 用語辞典 決算分析
2026年4月1日(水曜日)
The Morning Briefing

1イラン戦争終結への期待が高まり、米国市場は5月以来の最大の上昇を記録した。イランのペゼシュキアン大統領がEU議長との電話会談で「戦争終結の必要な意志がある」と表明。さらにトランプ大統領が「2〜3週間で撤退する」と発言したことで、投資家心理が大幅に改善。S&P 500は+2.91%6,528.52、NASDAQは+3.83%21,590.63、ダウは+1,125ポイント(+2.49%)46,341.51で急騰した。

2テクノロジーセクターが上昇を牽引。NVIDIAがMarvell Technologyに20億ドルを出資しAIインフラ同盟を拡大、MRVLは+12.8%と急騰。NVDA +5.6%、META +6.6%、MSFT +3.1%とメガテック全面高。一方、原油は和平期待を受けてWTI $101.38-1.46%)、Brent $105.13(-1.56%)と反落したが、3月単月ではBrent +63%(1988年以来最大)、WTI +51%の歴史的急騰を記録。

3中国とパキスタンが5カ条和平ロードマップを発表し、即時停戦とホルムズ海峡ホルムズ海峡(Strait of Hormuz)世界の海上石油輸送の約20%が通過するイランとオマーンの間の狭い水路。イラン戦争で事実上封鎖され、原油価格急騰の最大要因となっている。の通航回復を要求。Unilever-McCormickの$650億食品メガ合併が発表されたが市場は懐疑的(UL -5.0%、MKC -5.9%)。Nike Q3決算はEPSビートも中国市場20%減警告で時間外下落。バフェットは「Apple売るの早すぎた」と認め、市場が安くなれば再購入する意向を示した。

S&P 500 6,528.52 +2.91%
NASDAQ 21,590.63 +3.83%
ダウ 46,341.51 +2.49%
VIX 26.84 -12.3%
米10年債 4.321% -2.1bp
USD/JPY 149.50 -0.42
WTI $101.38 -1.46%
Gold $4,578 +0.12%
BTC $66,710 横ばい
TOP STORY
ニューヨーク証券取引所ビルのレリーフ
Photo: Pexels
GEOPOLITICS

イラン戦争終結の光明 — ペゼシュキアン大統領「必要な意志あり」、トランプ「2〜3週間で撤退」

イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は3月31日、EU議長との電話会談で「この紛争を終結させる必要な意志を持っている」と表明した。ただし「侵略の繰り返しを防ぐ保証」を条件に挙げており、無条件降伏は引き続き拒否している。一方、トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し「2週間、おそらく3週間で撤退する」と述べ、米国の軍事目標は概ね達成されたとの認識を示した。同時に「我々は完全にアンチェックド。全てを爆撃した」とも発言し、同盟国に対しては「自分で石油を取りに行け」と苛立ちを露わにした。イラン戦争開始(2月28日)から5週間が経過し、トランプの撤退シグナルとペゼシュキアンの対話姿勢が重なったことで、市場は大幅反発。S&P 500は+2.91%、ダウは1,125ポイント急騰し、5月以来の最大の上昇日となった。しかし、トランプは同時に「取引が成立しなければイランの電力施設と油井を完全に破壊する」とも警告しており、停戦への道のりは依然として不透明だ。

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なぜ重要か: イラン戦争はホルムズ海峡ホルムズ海峡世界の海上石油輸送の約20%が通過するイランとオマーンの間の狭い水路。イラン戦争で事実上封鎖され、原油価格急騰の最大要因となっている。閉鎖を通じて世界の石油供給の20%を遮断し、Brent原油を3月だけで63%急騰させた。停戦の行方は原油・株式・為替すべてに直結する。
🔍 編集部はこう見る
トランプの「2〜3週間で撤退」は交渉カードであり、文字通りに受け取るべきではない。ペゼシュキアンの賠償要求は米国が受け入れる可能性が極めて低く、交渉の最大障壁となる。市場はシナリオA(楽観的停戦)を織り込みすぎている可能性がある。4月6日のハルグ島期限が次の焦点。
コンピューターマザーボードのクローズアップ Photo: Pexels
TECH Bloomberg / CNBC
NVIDIA、Marvellに20億ドル出資 — 「NVLink Fusion」でAI半導体同盟拡大
NVIDIAはMarvell Technologyに20億ドルの株式投資を行い、AIインフラストラクチャの包括的パートナーシップを発表した。MarvellはNVLink Fusion互換のカスタムXPUとネットワーキング機器を供給し、NVIDIAはCPU・ネットワーキング・インターコネクト・AIコンピュートのコア技術を提供する。両社はシリコンフォトニクスシリコンフォトニクス従来の銅配線の代わりに光(レーザー)を使ってデータを伝送する半導体技術。AI学習に必要な大量のデータ移動を高速・省電力で実現する。の共同開発でも合意。「AI Factory」構想のもと、通信ネットワークをAIコンピューティングに活用する新たなアーキテクチャを模索する。MRVL株は+12.8%の$99.05で引け、NVDA株も+5.6%の$174.40で上昇した。
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なぜ重要か: NVIDIAのエコシステム拡大戦略の一環。カスタムチップとNVIDIA標準プラットフォームの融合は、AI半導体の業界地図を塗り替える可能性がある。
夜間の石油精製施設 Photo: Pexels
ECONOMY CNBC
原油、3月は歴史的急騰月 — Brent +63%は1988年以来最大の月間上昇率
3月はエネルギー市場にとって歴史的な月となった。Brent原油は+63%と、1988年の統計開始以来最大の月間上昇率を記録。WTIも+51%と2020年5月以来の急騰だった。イラン戦争によるホルムズ海峡の事実上の封鎖で、世界の海上石油輸送の約20%が停止。3月31日のセッションでは和平期待から小幅反落し、WTI $101.38(-1.46%)、Brent $105.13(-1.56%)で引けたが、依然として2022年以来の高水準を維持。米国のガソリン平均価格は1ガロン$4を突破し、消費者への影響も拡大している。
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なぜ重要か: 原油の歴史的急騰はインフレ再燃リスクを高め、FRBの利下げ見通しを複雑化させる。企業の輸送・製造コストにも直結し、Q2決算への影響が懸念される。
ドバイ上空からのペルシャ湾の航空写真 Photo: Pexels
GEOPOLITICS Axios / Bloomberg / Al Jazeera
中国・パキスタン、5カ条和平ロードマップ発表 — 米主導の戦争に仲介の異例の展開
パキスタンのイスハク・ダール外相と中国の王毅外相が北京で会談し、イラン戦争の5カ条和平イニシアチブを発表した。即時停戦と人道支援、和平交渉の開始、交渉中の武力行使禁止、エネルギー・水・核インフラへの攻撃停止、ホルムズ海峡の民間・商業船舶の安全な通航回復を求めている。米国が主導する軍事作戦に対して中国が仲介に乗り出すのは極めて異例。パキスタンは間接的ながらワシントン・テヘラン間の「構造化されたメッセージ交換」を促進しているとされる。
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なぜ重要か: 中国が米国の軍事行動に対する和平仲介に動いたことは、国際秩序の多極化を象徴する出来事。ホルムズ海峡の通航回復は原油市場の安定に直結する。
スーパーマーケットの食品売り場 Photo: Pexels
ECONOMY CNBC / Reuters
Unilever-McCormick、$650億の食品メガ合併 — 史上2番目の規模
UnileverがMcCormickとの$650億規模の合併を発表した。Reverse Morris TrustReverse Morris Trust企業がタックスフリーで事業部門をスピンオフし、別の企業と合併させる取引構造。売り手側の税負担を大幅に軽減できるため、大型M&Aで頻繁に使われる。構造を採用し、Unileverの食品部門(Knorr、Hellmann's等)をスピンオフしてMcCormickと統合する。Unilever株主が合併会社の65%を保有し、Unileverには$157億の現金が支払われる。食品業界で史上2番目に大きい取引だが、市場は統合リスクや成長性への懐疑から売りで反応。UL -5.0%、MKC -5.9%と両社ともに下落した。取引完了は2027年半ばの見通し。
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なぜ重要か: 食品業界の大型再編は消費者物価やブランド戦略に影響。$650億という規模は市場の統合トレンドを加速させる可能性がある。
Nikeスニーカー Photo: Pexels
EARNINGS CNBC / Nike IR
Nike Q3決算 — 売上・EPSビートも、中国市場20%減警告で時間外下落
Nikeが2026年度Q3(12-2月期)決算を発表。売上$112.8億(予想$112.4億)、EPS $0.35(予想$0.31)と上振れた。Nike Brand売上は前年比+1%の$110億で、ホールセールが+5%と回復を見せた一方、Nike Directは-4%の$45億と苦戦。粗利益率は関税影響で130bp低下の40.2%。問題はQ4ガイダンスで、売上2-4%減を見通し(ウォール街予想は+1.9%)。特に中国市場は当四半期20%減の警告を出した。
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なぜ重要か: Nikeの中国20%減警告は、関税・地政学リスクが消費財セクターに直接的な打撃を与えていることを示す。グローバルブランドの「チャイナリスク」が再び意識される。
ニューヨーク証券取引所のファサード Photo: Pexels
ECONOMY CNBC
バフェット「Apple売るの早すぎた」— 税引前$1,000億超の利益を公表
ウォーレン・バフェットはCNBCのインタビューで「Apple株を売るのが早すぎた」と認めた。バークシャー・ハサウェイはApple株で税引前$1,000億以上の利益を上げたが、昨年末時点でもなお$619.6億相当を保有する最大ポジションだ。「この市場では買わないが、安くなれば大量に買うだろう」と述べ、Tim Cookの経営手腕を高く評価。「Steve Jobsにはできないことをやった。Timは素晴らしいマネージャーだ」と語った。また、バークシャーが$170億の米国債を購入したことも明らかにした。
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なぜ重要か: 世界最高の投資家がAppleの売却を後悔するのは珍しい。バフェットの「この市場では買わない」発言は、現在の株価水準への慎重姿勢を示唆する。
✍️ EDITORIAL

「2〜3週間」の真意 — トランプの撤退シグナルとペゼシュキアンの条件を読み解く

トランプの撤退シグナルとペゼシュキアンの条件を読み解く

3月31日、イラン戦争をめぐる2つの重要な発言が市場を動かした。しかし、楽観は禁物だ。両者の発言を仔細に分析すると、停戦への道のりは表面上の印象よりも複雑であることが見えてくる。

トランプの撤退シグナル: 「2〜3週間で撤退する」――この発言の背景には、戦争開始から5週間を経た国内世論の変化がある。米ガソリン価格が$4を突破し、中間選挙を見据えた共和党内からも懸念の声が上がり始めている。NPRは「トランプのイラン戦争に関する混合メッセージは共和党に結果をもたらす可能性がある」と報じた。同時に「取引が成立しなければイランの電力施設と油井を完全に破壊する」という脅しも続けており、撤退とエスカレーションの両カードを同時に切る交渉戦術と読むべきだろう。

ペゼシュキアンの条件: 「必要な意志を持っている」とEU議長に伝えたペゼシュキアン大統領だが、3つの条件を付している。(1) イランの正当な権利の承認、(2) 賠償金の支払い、(3) 将来の侵略を防ぐ国際的保証。特に (2) の賠償要求は米国が受け入れる可能性が極めて低く、交渉の最大障壁となる。さらに、PJ Mediaは「ペゼシュキアンはIRGC(革命防衛隊)に事実上『人質』にされており、トランプとの直接交渉を阻まれている」と報じている。大統領の「意志」と体制の「意志」が一致しているかは不透明だ。

3つのシナリオ:
シナリオA(楽観): 4月中旬までに停戦合意。ホルムズ海峡再開、原油$80台に急落。確率: 20%
シナリオB(基本): 部分的停戦(攻撃の一時停止)だが、ホルムズ海峡は段階的に再開。原油$90前後に低下。確率: 50%
シナリオC(悲観): 交渉決裂、トランプがインフラ攻撃を実行。原油$130超、VIX 40台。確率: 30%

市場は現在シナリオAとBの間を織り込んでいるが、シナリオCのテールリスクを過小評価している可能性がある。4月6日に設定されたハルグ島(イランの主要石油輸出拠点)に関する期限も注視すべきポイントだ。

※ 本稿は特定の有価証券の売買推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いします。
シリコンフォトニクス
Silicon Photonics
シリコンフォトニクスとは、従来の銅配線の代わりに光(レーザー)を使ってデータを伝送する半導体技術である。シリコン基板上に光導波路やレーザー、光検出器を集積し、電気信号と光信号を高速に変換することで、データセンター内のサーバー間通信やAI学習クラスターの相互接続を飛躍的に高速化・省電力化する。AI時代に必要なデータ移動量が爆発的に増加する中、銅配線の帯域幅・消費電力の限界を突破する「次世代のインターコネクト技術」として、半導体業界が最も注力する分野の一つとなっている。
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なぜ光なのか
銅配線は距離が長くなると信号が劣化し、速度を上げると発熱も増える。光は電気抵抗がなく、長距離でも信号劣化がほぼゼロ。1本の光ファイバーで銅配線の数百倍のデータを運べるため、AIの大規模学習に不可欠な超高速データ転送を実現する。
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業界の動き
NVIDIAがMarvellに$2B出資し共同開発を発表したほか、Broadcom、Intel、TSMCも独自のシリコンフォトニクス技術を開発中。Aehr Test Systemsがシリコンフォトニクス用トランシーバーの試験装置受注で+23%急騰するなど、サプライチェーン全体に投資マネーが流入している。
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市場規模
シリコンフォトニクス市場は2025年の約$20億から2030年には$80億超へと年率30%以上で成長すると予測されている。特にAIデータセンター向けの需要が最大の成長ドライバーだ。
📌 今日との関連 本日発表されたNVIDIA-Marvellの$20億パートナーシップの中核が、まさにシリコンフォトニクスの共同開発だ。NVIDIAの「NVLink Fusion」構想は、光インターコネクトによってAIチップ同士を超高速で接続する次世代アーキテクチャを目指している。MRVLが+12.8%急騰したのは、この技術が半導体業界の次なる成長フロンティアであることを市場が認識した証拠といえる。
📖 用語辞典で詳しく見る →
3/31(火)発表済み
🇺🇸 HIGH 消費者信頼感指数 前回: 98.3 / 予想: 94.0
4/1(水)本日
🇺🇸 HIGH ISM製造業PMI(3月) 前回: 52.4 / 予想: 51.5
4/2(木)
🇺🇸 MEDIUM ADP雇用統計 前回: 140K / 予想: 135K
🇺🇸 MEDIUM JOLTS求人件数 前回: 7.74M / 予想: 7.60M
4/3(金)聖金曜日 — 株式市場休場
🇺🇸 HIGH 雇用統計(NFP)非農業部門雇用者数(NFP)米労働省が毎月第1金曜日に発表する雇用統計の中核指標。農業以外の全産業の雇用者数の増減を示し、FRBの金融政策判断に大きく影響する。(3月) 前回: 151K / 予想: 140K ※株式市場は聖金曜日で休場
🌙 AMC(アフターマーケット)— 発表済み
NKE AMC
Nike
スポーツアパレル
EPS: $0.35 (予想$0.31) 売上: $11.28B (予想$11.24B)
★ ビート(ただしQ4ガイダンス下方修正・中国20%減警告)

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