受注額が1兆ドル(約150兆円)に到達 — AI半導体の需要は衰えず Jensen Huang CEOは約2時間にわたる基調講演で、BlackwellとVera Rubinの合計受注額が2027年までに1兆ドルに達する見込みと発表しました。これは昨年のGTC 2025で示した5,000億ドル見通しからわずか1年で倍増。AIコンピューティングへの設備投資がまだまだ加速していることを示す象徴的な数字です。
Vera Rubinがいよいよフル量産へ — 6つの新チップを一斉投入 昨年のGTC 2025でロードマップが公開されたVera RubinVera Rubin(ベラ・ルービン)NVIDIAの次世代AIチッププラットフォーム。暗黒物質の存在を示した天文学者にちなんで命名。現行のBlackwellの後継で、2026年後半から出荷開始。GPU・CPU・ネットワーク機器など6つの新チップで構成されます。プラットフォームが、ついにフル量産段階に入ったことが正式発表されました。Vera CPU、Rubin GPU、NVLink 6など6つの新チップが2026年後半から順次出荷。現行BlackwellBlackwell(ブラックウェル)NVIDIAの現行世代AIチップ。2024年のGTCで発表され、現在データセンターで大量に使われている主力製品。上位版の「Blackwell Ultra(GB300)」も2025年後半から出荷中です。世代と比べて推論スループット10倍、トークンコスト1/10という大幅な性能向上を実現します。
次々世代「Feynman」の全貌が初めて明らかに さらにサプライズだったのが、2028年出荷予定の次々世代アーキテクチャ「FeynmanFeynman(ファインマン)ノーベル物理学賞受賞者リチャード・ファインマンにちなんだ、NVIDIAの2028年予定の次々世代GPUアーキテクチャ。業界初の3Dチップ積層技術やシリコンフォトニクス(光でデータを送る技術)を採用し、大幅な性能向上が見込まれます。」の詳細公開です。3Dダイスタッキング3Dダイスタッキングチップ(ダイ)を平面に並べるのではなく、縦方向に積み重ねる技術。マンションのように「上に積む」ことで、同じ面積でより多くの回路を搭載でき、データの移動距離も短くなるため高速化します。、シリコンフォトニクスシリコンフォトニクス電気信号の代わりに「光」でデータを伝送する技術。電気配線より圧倒的に高速・低消費電力で大量のデータを送れます。NVIDIA GPUへの搭載は初めてで、データセンター内の通信ボトルネックを解消します。(光によるデータ伝送)、新CPU「Rosa」など、革新的な技術が盛りだくさんの内容でした。
Groq買収の成果が早くも登場 — Groq 3 LPU 2025年12月に約200億ドルでGroqGroq(グロック)超高速AI推論チップを開発していたスタートアップ企業。NVIDIAが2025年12月に約200億ドル(約3兆円)で買収。Groqの「LPU」はAIの応答速度を極限まで速くする専用チップで、NVIDIAのGPUと組み合わせることで弱点を補完します。の資産を取得した成果が早くも形に。Groq 3 LPU(言語処理ユニット)がVera Rubinプラットフォームに統合され、毎秒1,500トークンのAI推論性能と、メガワットあたり35倍のスループット向上を実現します。
Blackwell Ultra (GB300)
NVL72ラック
NVL144システム
Groq 3 LPU統合
Kyberラック (144GPU)
シリコンフォトニクス
Rosa CPU / NVL1152
GPU・CPU・ネットワーク・ストレージまで「全部入り」— AIインフラの垂直統合が完成
NVIDIAはGPUだけでなく、CPU・ネットワーク・ストレージまで含むフルスタックフルスタックシステム全体を一社でカバーすること。従来はGPU(映像処理チップ)が主力でしたが、今回CPU・ネットワーク機器・ストレージまで含む「全部入り」の製品群を揃え、データセンター全体を丸ごと提供できる体制が完成しました。の6チップ体制を発表。さらにGroq買収で獲得したGroq 3 LPUも加わり、学習から推論まであらゆるAI処理を最適化。AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloudの4大クラウドすべてが採用を表明。Anthropic、OpenAI、Meta、Mistral AIも開発パートナーとして参画しています。
| チップ名 | 役割 | 注目ポイント |
|---|---|---|
| Vera CPU | エージェンティックAIエージェンティックAI人間の指示を受けて、自分で考え・計画し・行動できるAI。従来のAIは「質問に答える」だけでしたが、エージェンティックAIはメール対応やデータ分析など「タスクを自律的に実行する」ことができます。専用 | 88コア搭載、半分の電力で2倍の帯域幅 |
| Rubin GPU | 大規模AIモデル訓練 | Blackwell比で1/4のGPU数で同等の訓練が可能 |
| NVLink 6 Switch | GPU間接続GPU間接続(NVLink)複数のGPUチップ同士を超高速で接続する技術。大規模AIの学習には数千個のGPUが協調して動く必要があり、GPU間の「高速道路」の役割を果たします。 | 1.8 TB/sのコヒーレント帯域幅 |
| ConnectX-9 SuperNIC | サーバー間ネットワーク | 次世代ネットワークインターフェース |
| BlueField-4 DPU | DPUDPU(Data Processing Unit)データ処理専用のチップ。サーバーのCPUが本来やるべき仕事に集中できるよう、ネットワークやストレージの処理を肩代わりする「裏方」のプロセッサです。(ストレージ処理) | トークンスループット5倍、効率4倍向上 |
| Spectrum-6 | イーサネットスイッチ | データセンター全体のネットワーク最適化 |
3Dチップ積層+光伝送 — GPU設計の常識を塗り替える「Feynman」の全貌
Vera Rubinの「さらに次」となるFeynmanアーキテクチャの詳細がGTC 2026で初公開されました。TSMCのA16プロセスTSMC A16プロセス(1.6nmクラス)半導体の製造技術の世代を示す名前。数字が小さいほど微細な回路を作れ、チップの性能向上と省電力化が進みます。A16は2028年頃に量産開始予定の最先端プロセスです。(1.6nmクラス)で製造され、業界初の3Dダイスタッキング技術を採用。さらに、NVIDIA GPU初となるシリコンフォトニクス(光信号によるデータ伝送)を搭載し、データセンター内の通信速度を劇的に向上させます。新CPU「Rosa」、LP40 LPU設計、BlueField 5、CX 10も含む包括的なプラットフォームとなり、NVL1152スケールNVL11521つのシステムに1,152個のGPUを接続して動かす構成のこと。現行のVera RubinはNVL144(144個)なので、その8倍の規模。超巨大なAIモデルの学習に使われます。に対応します。
Jensen Huang:「Mac、Windowsに次ぐソフトウェアの新たなルネサンス」 今回のGTCで Jensen Huangが最も熱を込めて語ったソフトウェア発表が「OpenClawOpenClaw(オープンクロー)NVIDIAが提唱する「パーソナルAIのOS(基本ソフト)」。WindowsやmacOSのように、AIアプリケーションが動く基盤となるプラットフォーム。オープンソースで公開されており、誰でも利用・改良が可能です。」です。Jensen Huangはこれを「人類史上最も人気のあるオープンソースプロジェクトになる」「パーソナルAIのOS」と表現し、MacやWindowsに次ぐ「ソフトウェアの新たなルネサンスの始まり」と位置づけました。
NemoClaw — 企業向けのセキュアなAIエージェント基盤 OpenClawの企業向けバージョンが「NemoClawNemoClaw(ネモクロー)OpenClawの企業向けスタック。企業のセキュリティポリシーに従ったAIエージェントの運用を可能にします。1つのコマンドでNVIDIAのAIモデル(Nemotron)とセキュリティ付きランタイム(OpenShell)をまとめて導入できます。」です。OpenShellランタイムOpenShellAIエージェントを安全に動かすための実行環境。ポリシーベースのセキュリティガードレール、プライバシールーティング、ネットワーク保護機能を備え、企業が安心してAIエージェントを業務に導入できるようにします。によるポリシーベースのセキュリティ・プライバシーガードレールを備え、1コマンドでNemotronモデル+OpenShellランタイムをインストール可能。RTX PC、DGX Station、DGX Sparkで動作します。
投資家の視点:ソフトウェアがハードウェアの「堀」になる OpenClaw / NemoClawの真の意味は、NVIDIAのチップを使う「理由」がハード性能だけでなく、ソフトウェアエコシステム全体に広がっていくこと。CUDACUDA(クーダ)NVIDIA GPU上でプログラムを動かすための開発環境。世界中のAI研究者がCUDAを使っており、「CUDAで書いたプログラムはNVIDIA GPUでしか動かない」ため、他社への乗り換えが難しくなる効果があります。に続く新たなロックインの層が形成されつつあり、AMDやIntelなどの競合がハード性能で追いついても、ソフトウェアの差で勝負がつく構造が強化されています。
Dynamo 1.0 — AIファクトリーを動かす「推論OS」をオープンソース公開
AIファクトリーAIファクトリー大量のAI処理を行う大規模データセンターのこと。従来のデータセンターが「データの保管庫」だったのに対し、AIファクトリーは「AIの製造工場」として24時間AIの学習・推論を行います。を効率的に動かす分散型OS。Blackwell GPUで最大7倍の推論性能向上。AWS、Azure、Google Cloud、Oracle全てが採用。Cursor、Perplexity、ByteDanceなど人気サービスも導入。
Disneyの「オラフ」が舞台上を自律歩行 — 会場を沸かせたデモ
映画「アナと雪の女王」のオラフが、NVIDIAのNewton物理エンジン+Omniverseシミュレーションで訓練されたAIロボットとして舞台上を自律歩行。物理AIの可能性を示す最もインパクトのあるデモとなりました。
▶ GTC 2026 キーノート動画で見るGR00T N2 + Isaac Lab 3.0 — 世界の産業用ロボット200万台がNVIDIA AIへ
次世代ロボットAI「GR00T N2GR00T N2(グルート)NVIDIAのロボット用AIの「頭脳」にあたるモデル。さまざまな作業を学習・実行できるロボットの基盤AI。従来版より2倍以上のタスク成功率を実現し、FANUC・ABBなど大手メーカー20社以上が採用します。」は従来比2倍以上のタスク成功率。FANUC・ABB・KUKA・安川電機など20社以上が採用を表明。新物理エンジン「Newton 1.0」も発表。
DRIVE Hyperion Level 4 — 日産・BYDが採用、Uberは28都市展開へ
完全自動運転(Level 4自動運転 Level 4特定の条件下で人間の操作が一切不要な自動運転レベル。例えば「都市部の一般道路」など限定エリアで完全な自動運転が可能に。Uberと提携し、2027年からロボタクシーサービスを開始予定です。)対応プラットフォームにBYD、Geely、いすゞ、日産、現代が参加。いすゞ+Tier IVは自動運転バスも開発中。Uberは2028年までに28都市でロボタクシー展開を計画。
DLSS 5 — 生成AIでゲームの映像美が次の次元へ
DLSSDLSS(Deep Learning Super Sampling)AIの力で映像を美しく・滑らかにする技術。DLSS 5では生成AIが照明や質感をリアルタイムで生成する「ニューラルレンダリング」を導入。2018年以来最大のグラフィックス革新と位置づけられています。 5では生成AIによるリアルタイムニューラルレンダリングを導入。最大4K解像度でフォトリアルな照明・材質をピクセル単位で生成。Assassin's Creed Shadows、Starfield等が対応予定。2026年秋リリース。
▶ DLSS 5 デモ動画を見る創薬AIとロボット手術 — Roche、Novo Nordiskが大規模導入
タンパク質結合設計AI「Proteina-Complexa」を発表。約3,000万個のタンパク質複合体を予測。Rocheは3,500個のBlackwell GPUを導入。手術ロボット向けデータセット「Open-H」(700時間以上の手術動画)も公開。
Space-1 — 軌道上でH100の25倍のAI推論を実現
宇宙コンピューティングモジュール「Vera Rubin Space-1」を発表。Rubin GPU 2基+Vera CPU 1基の統合設計で、衛星データのリアルタイムAI処理が可能に。Axiom Space、Planet Labs等がパートナー。
DGX Spark — デスクトップで1,200億パラメータのAIを動かす
128GB統合メモリ128GB統合メモリ一般的なPCのメモリは8〜32GB。128GBはその4〜16倍で、大規模AIモデルを丸ごとPC1台で動かせる容量。データセンター不要でAI開発が可能になります。搭載のデスクトップAIスーパーコンピュータ。1,200億パラメータ以上のAIモデルをローカル実行可能。研究者やエンジニアが手元でAI開発を行える時代が到来。
GTC 2026のテーマは「実行」— ロードマップが現実になった 昨年のGTC 2025ではVera RubinやFeynmanの「ビジョン」が示されましたが、今年のGTC 2026はそれが「現実」になったことを証明する場でした。Vera Rubinのフル量産開始、Groq買収の成果(Groq 3 LPU)の即座の統合、OpenClaw / NemoClawというソフトウェア戦略の具現化。Jensenは「語る」から「出荷する」フェーズに入ったことを印象づけました。
Feynmanの詳細公開は「NVIDIAの先手必勝戦略」 2028年のFeynmanまでロードマップを具体的に示したことで、競合(AMD MI400、Intel Falcon Shores)に対して「2年先の技術ビジョン」を突きつけた形。3Dダイスタッキングとシリコンフォトニクスの組み合わせは業界初であり、データセンター設計者に「NVIDIAと長期契約する合理性」を与えています。
投資判断:中長期では強気、短期は慎重に アナリスト38名中36名がBuy以上、平均目標株価$263(+43%上値余地)。ファンダメンタルズは極めて強力です。ただし現在のPER 37倍には相当な期待が織り込まれており、GTC後の「材料出尽くし」や、Vera Rubinの本格売上貢献がFY2028以降である点には注意が必要です。ポジション管理は慎重に、中長期の成長ストーリーには引き続き注目です。